
TikTok、Instagram、YouTube。
ここ数年、建設業界でもSNSを採用に活用する会社が増えてきました。
職人の日常。
現場の様子。
社員インタビュー。
社長と社員の掛け合い。
建設業あるある。
こうした動画を投稿し、
「10万再生された!」
「100万再生いった!」
という話を聞くこともあります。
もちろん、多くの人に見てもらえること自体は悪いことではありません。
会社を知ってもらうきっかけとして、SNSの拡散力は大きな武器になります。
しかし、採用を目的にSNSを運用するのであれば、一つ注意したいことがあります。
それは、
「バズること」と「採用できること」は、まったく同じではない
ということです。
今回は、なぜSNS採用で「バズ」を目的にしてはいけないのかについて考えてみます。
【PR】
100万再生されても、応募ゼロはあり得る
例えば、建設会社が投稿した動画が100万回再生されたとします。
数字だけ見れば大成功です。
しかし、その100万人は誰でしょうか。
高校生かもしれません。
建設業とは関係のない会社員かもしれません。
遠く離れた地域に住んでいる人かもしれません。
海外のユーザーかもしれません。
つまり、
「見た人の数」と「採用したい人に届いた数」は違う
ということです。
大阪で電気工事経験者を採用したい会社なら、本当に届けたいのは、
「大阪周辺で働ける電気工事経験者」
です。
全国の100万人に見られるより、条件に合う1,000人に見てもらう方が採用につながる可能性があります。
採用において重要なのは、
再生数ではなく「誰に見られたか」
なのです。
バズる動画と採用につながる動画は違う
SNSでは、面白い動画や驚きのある動画ほど再生されやすい傾向があります。
そのため運用を続けていると、
「もっと面白くしよう」
「もっと刺激を強くしよう」
「次は10万再生を狙おう」
と、いつの間にか再生数そのものが目標になってしまうことがあります。
すると、
最初は会社の魅力を伝えるために始めたSNSが、
「数字を取るためのコンテンツ」
へ変わってしまいます。
例えば会社では普段ほとんどやっていない派手な企画ばかり投稿する。
社員に無理に面白いことをさせる。
仕事内容とは関係のない動画ばかりになる。
確かに再生数は伸びるかもしれません。
しかし求職者がプロフィールを開いたとき、
「結局、この会社は何の仕事をしているんだろう?」
となってしまえば、採用という目的からは離れてしまいます。
求職者が知りたいのは「入社後の自分」
採用SNSで本当に伝えなければならないのは、会社の日常です。
どんな仕事をしているのか。
どんな人が働いているのか。
社長はどんな人なのか。
職人同士の雰囲気はどうなのか。
未経験者はどうやって仕事を覚えるのか。
どれくらい稼げるのか。
休日はどうなのか。
どんな技術が身につくのか。
5年後、10年後にどんな職人になれるのか。
求職者が本当に知りたいのは、
「この会社に入ったら、自分はどうなるのか?」
ということです。
だから採用SNSでは、会社を面白く見せるだけではなく、働く姿を具体的に想像できる情報を出すことが重要になります。
再生数1万回の動画が、100万回の動画より価値を持つこともある
例えば二つの動画があったとします。
A動画
100万再生・応募0人
B動画
8,000再生・応募3人
採用目的なら、どちらが成功でしょうか。
当然、B動画です。
ところがSNS運用では、どうしても100万再生の方が「成功した動画」に見えます。
ここに大きな落とし穴があります。
SNS採用で本当に見るべきなのは、
再生数だけではありません。
プロフィール閲覧。
採用ページへのアクセス。
問い合わせ。
応募。
面接。
採用。
そして入社後の定着。
こうした数字まで見て、初めて成果を判断できます。
「何回再生されたか」ではなく、「何人の採用候補者を動かしたか」。
ここを見失わないことが大切です。
バズを狙い続けると制作コストも大きくなる
もう一つ問題になるのが、動画制作の負担です。
「前回は5万再生だったから、次は10万再生を狙おう」
「最近数字が落ちてきたから、もっと企画を考えよう」
こうなると、毎回新しいネタが必要になります。
企画を考える。
台本を作る。
社員に出演してもらう。
撮影する。
編集する。
投稿する。
結果を確認する。
これを続けるには相当な時間と労力が必要です。
特に中小の建設会社では、SNS専任担当者がいるケースは多くありません。
社長や事務員、広報担当者が通常業務と兼務していることもあります。
それなのに「バズ」を追い続ければ、SNS運用そのものが負担になってしまいます。
採用SNSは一発勝負ではありません。
だからこそ、
100万再生を一度出すことより、
採用につながる情報を継続的に発信できる仕組み
を作る方が重要です。
「会社のリアル」は最高の採用コンテンツになる
では、何を投稿すればいいのでしょうか。
必ずしも毎回、面白い企画を考える必要はありません。
例えば、
若手職人の一日。
入社3年目の給与。
未経験から覚えた仕事。
先輩が新人へ教えている様子。
資格取得の様子。
職長へのインタビュー。
現場で使う工具。
夏の現場のリアル。
社長が職人をどう評価しているのか。
こうした内容でも十分です。
なぜなら求職者にとっては、
会社側が当たり前だと思っている日常こそ、知りたい情報
だからです。
採用SNSでは、「面白い会社を演じる」必要はありません。
むしろ普段の会社をきちんと見せることが、入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。
バズ動画にも役割はある
もちろん、バズを完全に否定する必要はありません。
認知を広げるためには非常に有効です。
例えば、
建設業あるある。
職人しか分からない瞬間。
社長と社員の面白いやり取り。
意外な給与事情。
珍しい工事。
こうした動画から会社を知ってもらう。
そして興味を持った人がプロフィールへ来る。
そこに、
仕事内容。
社員紹介。
給与。
教育。
キャリア。
求人情報。
などのコンテンツがある。
この流れなら、バズ動画は採用への入口として機能します。
つまり、
バズを「目的」にするのではなく「手段」として使う
という考え方です。
「認知」と「採用」を分けて考える
SNS採用では、投稿する動画の役割を分けて考えると分かりやすくなります。
例えば、
認知を取る動画。
会社に興味を持ってもらう動画。
仕事を理解してもらう動画。
社員や社長を知ってもらう動画。
待遇を伝える動画。
応募を促す動画。
すべての動画で応募を取る必要はありません。
「建設業あるある」で会社を知る。
社員動画を見て雰囲気を知る。
仕事内容を見て興味を持つ。
給与や休日を確認する。
採用ページを見る。
応募する。
このように、複数のコンテンツで求職者を少しずつ動かしていくという考え方が重要です。
SNSだけで採用を完結させようとしない
SNSは非常に強力なツールです。
しかし、SNSだけですべてを完結させる必要はありません。
動画を見た人が会社名を検索する。
ホームページを見る。
採用ページを見る。
求人情報を確認する。
口コミを調べる。
そして応募する。
こうした動きも考える必要があります。
SNSで興味を持ってもらったのに、採用ページが何年も更新されていない。
給与や仕事内容がよく分からない。
応募方法が分からない。
これでは、せっかくのSNSからの流入を逃してしまいます。
SNSは採用活動全体の一部として設計することが大切です。
SNS採用の目的は「再生」ではなく「採用」
SNS運用をしていると、どうしても数字が気になります。
昨日の動画は何回再生された。
フォロワーが何人増えた。
「いいね」が何件ついた。
数字が伸びればうれしいものです。
しかし採用目的でSNSをやっているなら、ときどき原点に戻る必要があります。
何のために、この動画を作っているのか。
100万再生を取るためでしょうか。
フォロワー1万人を目指すためでしょうか。
違うはずです。
本来の目的は、
「自社に合った人と出会い、採用すること」
です。
極端に言えば、再生数が1,000回でも、その中から会社に合う職人が一人応募し、入社して長く働いてくれれば、その動画には大きな価値があります。
反対に100万回再生されても、採用につながらなければ、採用施策としては改善する必要があります。
これからSNS採用に取り組む建設会社に必要なのは、
「どうすればバズるか?」ではなく、
「誰に、何を伝えれば応募したくなるか?」
を考えること。
再生数を追うSNSから、採用につながるSNSへ。
バズはゴールではありません。
会社を知ってもらい、
自社に合った職人と出会うための一つの入口。
その視点を持つことが、これからの建設業界におけるSNS採用ではますます重要になっていくのではないでしょうか。
【PR】


