
建設業の世界では、経験が大きな武器になります。
20代の頃には分からなかった現場の流れが分かる。
図面を見れば施工のイメージができる。
トラブルが起きても経験から対応できる。
若い職人が迷っているポイントも分かる。
10年、20年と現場で積み重ねてきた経験は、簡単に身につけられるものではありません。
一方で40代、50代になると、20代の頃とまったく同じ働き方を続けることが難しくなる人もいます。
そこで考えたいのが、
「年齢を重ねても、会社から必要とされる職人とはどんな人なのか」
ということです。
今回は、40代・50代になっても求められる職人になるために、今から意識しておきたいことを考えてみます。
【PR】
「体力」では若手に勝てなくなる
20代の頃なら、
「誰よりも動く」
「重いものを持つ」
「多少無理してでも現場を終わらせる」
といった働き方ができた人もいるでしょう。
しかし40代、50代になれば体力は少しずつ変化します。
真夏の現場。
高所作業。
重量物。
長時間の作業。
若い頃とまったく同じ感覚で続けるのが難しくなることもあります。
これは決して、
「年齢を重ねると価値が下がる」
という意味ではありません。
重要なのは、
体力以外の価値を増やしていくことです。
若手より速く動けなくても、
若手より正確に施工できる。
失敗を事前に予測できる。
段取りができる。
周囲を動かせる。
こうした力があれば、年齢を重ねても十分に求められる職人になれます。
「作業ができる」から「任せられる」へ
若い職人に求められるのは、まず作業を覚えることです。
しかし経験を重ねた職人には、もう一段上の役割が期待されます。
例えば社長から、
「あの現場、○○さんに任せておけば大丈夫」
と思ってもらえる。
これは非常に大きな価値です。
施工ができる。
図面を読める。
材料を考えられる。
工程を把握できる。
他業者と調整できる。
安全を管理できる。
トラブルに対応できる。
元請けと話ができる。
ここまでできれば、単なる作業員ではありません。
「現場そのものを任せられる人材」です。
40代・50代で求められるためには、この「任せられる」という評価を増やしていくことが重要になります。
若手を育てられる職人は強い
これからの建設業界で、さらに重要になる能力があります。
それが、
「人を育てる力」
です。
自分が仕事をできることと、人に仕事を教えられることは別の能力です。
ベテランになると、
「見て覚えろ」
「俺たちの頃は教えてもらえなかった」
と言いたくなることもあるかもしれません。
しかし若手が不足している会社にとって、新しく入った人材を育てて定着させられる職人は非常に重要です。
なぜこの作業をするのか。
どこに注意するのか。
なぜ危険なのか。
失敗したらどうなるのか。
これを分かりやすく伝えられる。
できなかったことができるようになったら認める。
失敗したときは原因を一緒に考える。
そんなベテランが一人いるだけで、若手の成長速度や職場の雰囲気が変わることもあります。
自分一人が100の仕事をする力だけでなく、
若手5人の能力を50から70へ引き上げる力。
これもベテラン職人だからこそ生み出せる価値です。
「俺のやり方」だけに固執しない
経験が長くなるほど、自分なりの仕事のやり方ができてきます。
それ自体は悪いことではありません。
長年の経験から生まれた効率的な方法もあるでしょう。
しかし注意したいのが、
「昔からこうやってきたから」
だけで新しい方法を拒否してしまうことです。
建設業界も変わっています。
工具。
施工方法。
安全基準。
デジタル機器。
図面管理。
勤怠管理。
現場で使うアプリ。
会社によってはスマートフォンやタブレットを使って写真や図面を共有することもあります。
「俺はそういうの苦手やから」
と全部避けてしまうと、できる仕事の幅が狭くなる可能性があります。
すべてを得意になる必要はありません。
しかし、
「新しいものを覚えようとする姿勢」
は年齢に関係なく大切です。
コミュニケーションも立派なスキル
ベテランになるほど、技術だけではなく周囲との関わり方も重要になります。
元請け。
現場監督。
他職種。
協力会社。
若手。
会社の事務スタッフ。
現場は多くの人との連携で動いています。
どれだけ腕が良くても、
すぐ怒鳴る。
他業者と揉める。
若手が質問できない。
会社の指示を聞かない。
という状態では、会社として現場を任せにくくなります。
反対に、
技術がある。
話が通じる。
若手にも教えられる。
取引先とも問題なく対応できる。
そんな職人なら、
「この人に行ってもらえば安心」
と思ってもらえます。
年齢を重ねるほど、技術力に加えて「信頼される力」が大きな武器になります。
資格を経験と組み合わせる
40代・50代では資格も強い武器になります。
ただし資格を持っているだけではなく、これまでの現場経験と組み合わせることが重要です。
例えば、
経験20年。
職長経験あり。
資格あり。
若手教育ができる。
現場管理もできる。
となれば、その人の価値は単純な「経験20年」より伝わりやすくなります。
資格は、長年培ってきた経験を外部から見ても分かりやすくする材料の一つです。
もし今後必要になりそうな資格があるなら、
「もうこの歳だから」
ではなく、
「これから10年働くために取る」
という考え方もあっていいのではないでしょうか。
自分にしかできない仕事を一つ持つ
もう一つ強いのが専門性です。
例えば、
特殊な工法に詳しい。
難しい改修工事を任せられる。
大型現場の経験が豊富。
特定の設備に非常に詳しい。
トラブル対応が得意。
積算までできる。
「この仕事なら○○さん」
と言われるものを一つ持つ。
会社にとって、その人がいることで受けられる仕事があるなら、非常に大きな価値です。
すべてをできる必要はありません。
「自分は何のプロなのか」
を言える状態にすることも、年齢を重ねてからの市場価値につながります。
会社の中だけで自分を評価しない
40代、50代になると、
「今さら転職なんて」
と考える人もいるかもしれません。
もちろん無理に転職する必要はありません。
ただ、自分の市場価値を知っておくことには意味があります。
同じ職種の求人を見る。
自分の経験がどれくらい評価されているのか調べる。
どんな資格が求められているのか確認する。
ベテランに企業が何を求めているのかを見る。
すると、
「自分の経験ならまだ十分評価される」
と分かるかもしれません。
逆に、
「この能力を身につけた方がいいな」
と気づくこともあります。
今の会社からもらっている給料だけで、自分の価値を決める必要はありません。
「できること」を一度棚卸ししてみる
年齢を重ねた職人ほど、一度自分のスキルを整理してみることをおすすめします。
経験した工事。
資格。
施工技術。
職長経験。
図面。
段取り。
安全管理。
元請け対応。
トラブル対応。
後輩教育。
自分では、
「これくらい普通やろ」
と思っていることも書き出してみる。
20年、30年現場で働いてきた人なら、想像以上に多くの「できる」があるかもしれません。
それこそが、若手にはまだない財産です。
年齢を「弱み」ではなく「経験値」に変える
40代、50代になることをネガティブに考える必要はありません。
若い職人には体力があります。
しかしベテランには、
経験があります。
判断力があります。
技術があります。
失敗した経験があります。
トラブルを乗り越えた経験があります。
若手を育てる力があります。
それらを生かせる職人になれば、年齢は弱みではなく「積み上げてきた経験値」になります。
大切なのは、20代と同じ方法だけで勝負し続けないことです。
身体で稼ぐ力に、
技術。
段取り。
管理。
教育。
資格。
コミュニケーション。
専門性。
を一つずつ加えていく。
そして、
「自分が作業できる職人」から「この人がいると現場も会社も強くなる職人」へ。
そこまでいけば、40代でも50代でも、会社から必要とされる存在であり続けることができます。
年齢を重ねることは、職人として価値が下がることではありません。
これまで積み上げてきた経験を、
次の価値へ変えられるかどうか。
それが、40代・50代になっても求められる職人であり続けるための、大きな分かれ道なのではないでしょうか。
【PR】


