
30代になると、現場での立ち位置が少しずつ変わってきます。
20代の頃は先輩について仕事を覚える立場だった。
しかし気づけば後輩が入り、自分が教える側になっている。
一人で任される仕事も増え、職長を任されることもある。
そんな30代の職人さんに、一度考えてほしいことがあります。
「この先、自分はどんな働き方をしていくのか?」
もちろん、40代、50代になっても現場で腕を磨き続ける道があります。
それも立派なキャリアです。
しかし、職人として10年、15年と経験を積んできた30代だからこそ、「現場の次」にはどんな選択肢があるのかを知っておくことも大切ではないでしょうか。
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30代は「自分ができる」だけではなくなってくる
20代では、
「一人で施工できる」
ことが大きな目標だった人も多いでしょう。
しかし30代になると、会社から求められる役割も変わってきます。
現場の段取りをする。
若手に仕事を教える。
複数の職人をまとめる。
工程を確認する。
安全を管理する。
元請けと打ち合わせをする。
トラブルが起きたときに判断する。
つまり、
「自分が作業できる職人」から「現場を動かせる職人」へ。
この変化が30代のキャリアを考える一つのポイントになります。
施工技術だけでなく、周囲を動かす能力が加われば、職人としての市場価値も変わってきます。
選択肢① 現場で技術を極める
「管理するより、自分は現場が好き」
という人もいるでしょう。
もちろん、それで構いません。
職人のキャリアは、全員が管理職を目指さなければならないわけではありません。
むしろ、
「あの仕事なら○○さんに任せれば間違いない」
と言われるようなスペシャリストになるのも一つの道です。
特殊な施工技術を身につける。
難易度の高い現場を経験する。
複数の工法に対応する。
専門資格を取得する。
施工スピードだけではなく品質まで高める。
こうして、「その人にしかできない仕事」を増やしていく。
技術者としての希少性を高めることも、立派なキャリア戦略です。
選択肢② 職長として「人を動かす側」へ
30代の職人にとって、比較的身近な次のステップが職長です。
職長になると、自分の作業だけを考えていればいいわけではありません。
誰をどこに配置するか。
今日どこまで進めるか。
危険な作業はないか。
他業者との工程はどうなっているか。
若手に何を任せるか。
現場全体を見る必要があります。
最初は、
「自分でやった方が早い」
と思うこともあるでしょう。
しかし、職長に求められるのは自分一人が速く施工することではありません。
チーム全体で安全に、品質を保ちながら仕事を進めること。
ここまでできるようになると、職人として新しい価値が加わります。
選択肢③ 施工管理へ進む
現場経験を生かして施工管理へ進む道もあります。
工程管理。
品質管理。
安全管理。
原価管理。
協力会社との調整。
元請けや発注者との打ち合わせ。
仕事の内容は、職人として施工する側とは大きく変わります。
しかし、現場を知っていることは大きな強みです。
「この工程ならこれくらい時間がかかる」
「この施工方法では現場がやりにくい」
「職人はここで困る」
といったことを経験から理解できるからです。
30代から必要な資格を取得し、施工管理の経験を積んでおけば、40代以降の働き方の選択肢も広がります。
選択肢④ 若手を育てる側になる
建設業界では若手不足が大きな課題になっています。
そのため今後、技術を持っているだけではなく、
「その技術を人に教えられる職人」
の価値も高まっていくでしょう。
自分では簡単にできる作業でも、新人に分かりやすく説明するのは意外と難しいものです。
なぜこの順番なのか。
どこが危険なのか。
失敗しやすいポイントはどこなのか。
感覚で覚えてきた技術を言葉にして伝える。
これも一つのスキルです。
一人で100の仕事ができる職人も重要ですが、若手5人を50から80へ育てられる人も会社にとって非常に重要な存在です。
選択肢⑤ 独立・一人親方・会社経営
30代になると、
「いつか独立したい」
と考える人も出てくるでしょう。
技術があり、仕事を任されるようになれば、
「自分でやった方が稼げるのでは?」
と思うこともあるかもしれません。
ただし、独立すると仕事は施工だけではなくなります。
営業。
見積もり。
請求。
資金繰り。
税金。
保険。
人材確保。
取引先との交渉。
社員を雇えば労務管理も必要です。
「腕のいい職人」と「会社を経営できる人」は別の能力です。
独立を考えているなら、30代のうちから施工以外の仕事にも興味を持っておくといいでしょう。
社長や上司がどう仕事を取っているのか。
工事はいくらで受注しているのか。
材料費はいくらなのか。
会社にはどんな経費があるのか。
こうした視点を持つだけでも将来に役立ちます。
40代、50代になったときの身体も考える
30代ではまだ、
「身体は普通に動くし、現場を続けられる」
と思う人が多いでしょう。
しかし建設現場では、暑さ、寒さ、重量物、高所作業など身体への負担がある仕事も少なくありません。
20代と同じ働き方を50代まで続けられるかは、人によって違います。
だからこそ、
「身体を使って稼ぐ力」に「経験で稼ぐ力」を加えていく
という考え方も重要です。
施工技術に加えて、
段取り。
職長能力。
管理。
教育。
顧客対応。
こうした能力を30代から身につけておけば、年齢を重ねても活躍できる可能性が広がります。
「今の給料」より「40代の自分」を考える
転職するとき、どうしても気になるのは現在の給料です。
月給35万円と40万円なら、40万円の会社を選びたくなるのは当然です。
しかし30代では、もう一つ見てほしいものがあります。
その会社で5年、10年働いたら、自分はどうなっているのか。
職長を経験できるのか。
施工管理を目指せるのか。
資格取得を支援してくれるのか。
若手教育を任せてもらえるのか。
高度な技術を学べるのか。
独立につながる経験ができるのか。
今の月給が少し高くても、10年後に何も変わっていなければ、キャリアとして本当に良かったのか分かりません。
30代の会社選びでは、「現在の待遇」と「将来得られる経験」の両方を見ることが重要です。
まずは自分の「できる」を棚卸ししてみる
将来を考えるためには、現在地を知る必要があります。
一人で施工できる仕事。
持っている資格。
経験した現場。
職長経験。
図面。
段取り。
安全管理。
元請け対応。
後輩指導。
これらを書き出してみる。
そして、
「今後伸ばしたいもの」
を考えてみましょう。
技術を極めたいなら、さらに専門性を高める。
職長を目指すなら、人を動かす経験を増やす。
施工管理へ行きたいなら、資格や管理業務を学ぶ。
独立したいなら、数字や営業についても学ぶ。
行きたい方向が決まれば、次に身につけるべきスキルも見えてきます。
30代は「現場を辞める準備」をする時期ではない
「現場の次を考える」というと、
「そろそろ職人を辞めた方がいいのか?」
と思うかもしれません。
そうではありません。
30代はむしろ、現場で培った技術と経験を、次の価値へ広げていく時期だと考えてみてください。
施工ができる。
そこに職長能力を加える。
管理能力を加える。
教育力を加える。
資格を加える。
経営感覚を加える。
すると、
「作業ができる職人」
から、
「現場を任せられる人材」
へ変わっていきます。
10年後、「何ができる40代」になっていますか?
35歳なら10年後は45歳です。
そのとき、
「職人歴25年です」
だけなのか。
「施工できます。職長できます。若手を育てられます。現場管理もできます」
と言えるのか。
その違いは大きいでしょう。
もちろん、キャリアに正解はありません。
現場で技術を極める。
職長になる。
施工管理へ進む。
教育担当になる。
独立する。
どの道を選んでも構いません。
大切なのは、
「何となく今の仕事を続けた結果、40代になった」ではなく、「自分で選んだキャリアを歩んで40代になる」こと。
30代は、まだ十分に方向を選べます。
これまで身につけてきた技術を土台にして、その上に何を積み上げるのか。
「今の現場」だけを見るのではなく、少し先にある「現場の次」について考えてみる。
それが、40代、50代になっても必要とされ、稼ぎ続けられる職人になるための大切な準備なのではないでしょうか。
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